黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)

いつもお世話に成って居ります(´・ω・`)Web担当の荻久保です。
今回のブログは、

「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」

のご紹介です(´・ω・`)


「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」
スペイン産 W12xD14xH10 mm 個人蔵
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□鉱物情報□

-黄鉄鉱/Pyrite-

□和名:黄鉄鉱(おうてっこう)
□洋名:Pyrite(パイライト)
□化学組成:FeS2 硫化鉄
□結晶系:等軸晶系
□条痕:黒色または緑黒色
□色:黄銅色
□モース硬度:6
□劈開:無し
□比重:5.0
□主な産地:世界各地に広く産出する。
形の良い結晶の産地は、スペイン、メキシコ、ペルー
イタリア、フランス 等

誰かが精巧な道具を使って成形したかの様な結晶の「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」。初めて見た時は驚嘆の声を上げて頭が真っ白に成ったのを今でも覚えています(。・ω・。)

「鉄 Fe」と「硫黄 S2」からなるこの硫化鉱物、その整った結晶と黄銅色に輝く表情から、鉱物に興味を持つきっかけと成った方も多いかもしれません(´・ω・`)

□名前の由来□

和名の「黄鉄鉱(おうてっこう)」は、その黄銅色からの由来と成ります。
洋名の「Pyrite(パイライト)」は、古代ギリシャ語の「火 πυρ pyr(ピュール)」を由来とします。実際にマッチが発明される19世紀までは、メノウや石英に黄鉄鉱を打ち付けて点火する「火打ち石」の道具として使用されていました。
また、その見た目から金と間違えられる事があり「愚者の金・Fool’s Gold」とも呼ばれます。

□アクセサリーとしての黄鉄鉱□

「黄鉄鉱/Pyrite」は「マルカジット」という名前で、昔から研磨加工されアクセサリーとしても使われていました。18世紀からはダイアモンドの類似石としても使用され、20世紀初頭には、様々なきらびやかなアクセサリーに使用されていました。しかし「黄鉄鉱/Pyrite」は長い時間を掛けて空気中の水や酸素と反応して「硫酸鉄(りゅうさんてつ)」と「硫酸(りゅうさん)」を生じさせてしまうため経年変化の劣化が激しく、現存する「マルカジットアンティークジュエリー」は非常に貴重なものと成っています。

※平常の状態で、特に水に濡らさなければ「黄鉄鉱/Pyrite」の鉱物標本が有害な物質に成る事は有りませんのでご安心下さい。


□黄鉄鉱の結晶□


「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」
中国産 W10xD11xH8 mm 個人蔵
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「黄鉄鉱/Pyrite」は結晶しやすい鉱物で、その形状は六面体か、画像の用に「黄鉄鉱面/パイライトヘドラ」と呼ばれる五角十二面体の立方体が多く、稀に正八面体で産出します。
結晶面に条線模様が見られるのも特徴の一つです(´・ω・`)

 

□黄鉄鉱の結晶系□

「黄鉄鉱/Pyrite」は「等軸晶系(とうじくしょうけい)/Cubic or Isometric system 」と言う結晶系に成ります。


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この結晶系は、「a1の前後軸」、「a2の左右軸」、「a3の上下軸」の3本の結晶軸の長さが等しく、その3本の結晶軸がお互いに垂直に交わるものに成ります。
[ a1 = a2 = a3 ,  α = β = γ = 90° ]
ダイアモンド、スピネル、ガーネット類、蛍石 等



「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」
ペルー産 W50xD37xH30 mm 個人蔵
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「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」
イタリア産 W38xD37xH22 mm 個人蔵
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「黄鉄鉱に成ったアンモナイトの化石」
ロシア産 W20xD15xH07 mm 個人蔵
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□上田盆地の黄鉄鉱


「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」
長野県産 W38xD37xH22 mm 個人蔵
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上田盆地にあります太郎山でも「黄鉄鉱/Pyrite」を観察することが出来ます。若干「白鉄鉱(はくてっこう)/marcasite(マーカサイト)」寄りかも知れないと小生の鉱物師匠が仰って居ましたが確かに普通の「黄鉄鉱/Pyrite」よりも若干もろい感じが在ります。

ちなみに、黄鉄鉱を含む地層がある「太郎山」から流れる川の水は、黄鉄鉱と水が反応して硫酸酸性水に成っている為飲めません。太郎山の麓を流れる「黄金沢」の川の水も、昔から大人たちは子供たちに「この川の水は飲んでは行けないよ」と教えていたそうです(´・ω・`)

□武石(たけし)の武石(ぶせき)

上田市に在ります「武石村(たけしむら)」では、「黄鉄鉱/Pyrite」が雨水の作用で酸化分解して「褐鉄鉱(かってっこう)/Limonite(リモナイト)」へ変化した鉱物「武石(ぶせき)」が天然記念物に指定されています。また「黄鉄鉱/Pyrite」のままのものは「金武石(きんぶせき)」と呼ばれています。
この様に、ある鉱物が元の形状を保ったまま他の鉱物に置き換わる事を「仮晶(かしょう)または仮像(かぞう)」と言います。
※今回の標本は地元の方よりお借りしました。


「武石(ぶせき)」
W06x067xH06 mm 個人蔵
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「武石(ぶせき)」
W06x07xH06 mm 個人蔵
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「黄鉄鉱/Pyrite」が「褐鉄鉱(かってっこう)/Limonite(リモナイト)」に「仮晶(かしょう)」したものは日本中で産出します。こちらの画像は、小生の鉱物師匠が他県の山中で発見した特大のものに成ります。


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□最近のメルク*リリ(。・ω・。)

鉱物には様々な、本当に様々な表情が在りますが、その形と光沢でググっとハートを鷲掴みにする「黄鉄鉱(おうてっこう)/Pyrite(パイライト)」のご紹介いかがでしたでしょうか。さてメルク*リリの在るここ上田もいよいよ夜には霜が降りる時期と成りました(´・ω・`)寒さ嫌いのオーナーは営業時間以外はコタツに潜り込んで新しいブレスレットをせっせと製作しております(。・ω・。)もう少ししたら冬の仕入れも始まりますのでどうぞお楽しみに(´・ω・`)また準備が出来ましたら随時新商品のご紹介も行おうと思います(´・ω・`)

それでは、また次回のブログもどうぞお楽しみに。

でわでわ(´・ω・`)


今回参考文献

□楽しい鉱物図鑑・堀 秀道 著/草思社

□新訂 宝石・近山 晶 著/全国宝石学協会

□宝石の写真図鑑・キャリー・ホール著/日本ヴォーグ社

□Wikipedia 「黄鉄鉱」
http://ja.wikipedia.org/wiki/黄鉄鉱

□Wikipedia マルカジット/マーカサイト Marcasite
http://ja.wikipedia.org/wiki/模倣宝石

□Wikipedia 仮晶
http://ja.wikipedia.org/wiki/仮晶