和田峠の黒曜石

先日、私の鉱物師匠から和田峠産の「黒曜石(こくようせき)/ Obsidian(オブシディアン)」の研磨のご注文を頂きました。
折角なので、この機会に画像を交えて「黒曜石/ Obsidian」についてまとめてみようと思います(´・ω・`)ノ
「黒曜石(こくようせき)/ Obsidian(オブシディアン)」
黒曜石は、マグマ由来の岩石で、マグマが水中や地表付近などの特殊な条件下で噴出し、急激に冷えて固まった「流紋岩(りゅうもんがん)」(まれにデイサイト)の一種になります。
成分は「二酸化珪素(にさんかけいそ)」SiO₂ が約70%~80%
   「酸化アルミニウム」Al₂O₃ が約10%強
その他「酸化ナトリウム」NaO₂ 
   「酸化カリウム」K₂O
   「酸化鉄」FeO
   「酸化カルシウム」CaO
と微量の水によって構成されています。天然のガラスとも呼ばれます。
モース硬度 (鉱物の硬さを示す基準)は「5」でカッターやナイフでやっと傷が付く硬さです。
割ってみると、とても鋭い割れ方をします。この特徴を利用して、「ナイフ」や「鏃(やじり)」などに古くから世界中で利用されて来ました。
日本では、後期旧石器時代から使われていました。今回の和田峠産の黒曜石も「ナイフ」や「鏃(やじり)」へと大量に加工され、交易品として関東方面や青森県は三内丸山遺跡へも運ばれていたそうです。
外側と内側とでは構造が異なり、内部に結晶が認められるものもあります。
これは、外側が急激に冷え、内側がその分ゆっくり冷えて固まる事で起こります。 また、左の画像の様に層状なっているものも良くみられます。
さて、今回私の師匠から研磨の依頼があった「黒曜石」ですが、普通の「黒曜石」とは少し異なり「方珪石(ほうけいせき)/ Cristobalite(クリストバライト)」と言う「石英の高温結晶」を内包しているものになります。
左画像の灰色で球状のものが「方珪石」になります。それでは早速、研磨してみましょう。
いつも使用している「ダイアモンドパシフィック社」の研磨機「BigFoot」を使って磨いていきます。
ダイアモンドの細かい粒の付いた荒い番手から磨いていきます。徐々に目の細かい番手へ移動しピカピカになるまで磨いていきます。
しっかりとツヤを出して完成です。なかなか味わい深い感じに仕上がりました(´・ω・`)内包されている球状の「方珪石(ほうけいせき)/ Cristobalite(クリストバライト)」がほんの少し気泡をまとっているので、ペンライトで照らしてみるとキラキラ輝きます。また、独特の浮遊感があるので宇宙に漂う惑星の様でもあります。実際に「宇宙入り」なんて言う呼び方もされているみたいです。
今回研磨したものは、運良く3つの「方珪石」が並んでいたので、惑星直列っぽくなりました(・ω<)
今回「黒曜石」について改めて調べてみてその深さに驚きました。中でも製鉄の技術が確立される以前の日本ではとても重要で身近な存在だった事に改めて気が付きました。産地によっても色や特徴が変化する「黒曜石」。またいろいろな切り口でご紹介出来たらと思います。

今回参考にさせて頂きましたhp
黒曜石関連
ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/黒曜石
小田静夫 黒曜石研究の動向 http://ao.jpn.org/kuroshio/kenkyudoko.htm
流紋岩関連
倉敷市立自然史博物館 流紋岩  http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/rock/igneousrock/rhyolite.html 
遺跡関連
邪馬台国大研究 鷹山遺跡 http://inoues.net/ruins/takayama.html