合成コランダムのご紹介です(´・ω・`)

大変ご無沙汰しております、web担当の荻久保です(´・ω・`)

今回は「合成コランダム/Synthetic Corundum」のご紹介です(´・ω・`)

旧ソ連時代にベルヌイ法によって作られたピンク色の「合成コランダム(ピンクサファイア)」


現在の人類が初めて合成して作り出した宝石は「ルビー」と言われています。


「ルビー」は、誰でも一度は耳にしたことのある「濃い赤色が魅力的な宝石」だと思いますが、鉱物名は「コラダム/Corundum」という「酸化アルミニウム Al2O3 」から出来ている酸化鉱物です。


宝石の中では一番硬いモース硬度10のダイヤモンドに次ぐ、モース硬度9を誇る鉱物でもあります(´・ω・`)

ルビー ミャンマー モゴック産


鉱物としての名前は「コランダム」ですが、宝石名としては色によって呼び方が変わります。

宝石名としては、

「クロム Cr 」を含むことによって濃い赤色になったのものが「ルビー」とされ、

「チタン」や「鉄」を含むことによって青色になったものは「サファイア」というように分けられています。

サファイア 東アフリカ ケニヤ産



また、
無色透明のものは、「ホワイトサファイア」または「カラーレスサファイア」
緑色のものは、「グリーンサファイア」
薄紅色は、「ピンクサファイア」
黄色は、「イエローサファイア」
というように、「ルビー」となる「濃い赤」以外はサファイアとして区別されています。

ただ一つ、非常に稀なピンクがかったオレンジ色のものは「パパラッチア(蓮の花)」と呼ばれています。
※こちらは近年パパラチアサファイアとも呼ばれているようです。また語源のパパラチアはスリランカのシンハラ語で「蓮の花」とのことですが、実際翻訳してみると「蓮の花 නෙලුම් මල ニルンマル」と出てくるのでちょっと掘り下げて調べてみる必要がありそうです(´・ω・`)ちなみにスリランカで使われているもう一つの言語のタミル語ですと 「தாமரை மலர் ターマリマル」となってしまいました。なんで?(´・ω・`)パパラッチャって何語だっちゃ?

ちなみにルビーは含まれるクロムにより、「紫外線(ブラックライト)395nm」を当てると鮮やかな濃いピンク色に蛍光します。

サファイアも同じ様に蛍光しますが、ものによっては蛍光しないものもあります(´・ω・`)

さて、そんな様々な特色のあるコランダムですが、人の手によって最初に合成された宝石がこのコランダムのルビーと言われています。

人工的に鉱物を作り出すには、自然界で鉱物が作られる環境を再現しなくてはなりません。
再現すべき環境とは主に、「熱」と「圧力」と「時間」です。

例えば、ダイヤモンドはその成分の「炭素 C」が、地球内部の上部マントル内で「1000度以上の状況下で5万気圧以上」という高温高圧の環境でダイヤモンドの結晶になります。

コランダムの場合は、成分の酸化アルミニウムが溶ける2025℃以上の温度が保てれば「標準的な気圧の環境下(1気圧)」で再結晶します。ですので温度を上げて溶かし、冷ませば再結晶します。ですが安定した融解温度を保つ環境と、不純物の入らない状態でなければ宝石質の美しい結晶は生まれません。

時代をさかのぼって見てみると、1817年ごろに初めて人工ルビーが現れ始めます。最初は天然の小さなルビーの結晶同士を溶かし合わせて一つのルビーを人工的に作るところから始まりました。その後、成分自体の酸化アルミニウムから微細なルビーの結晶が合成されされるようになり、1877年「エドモンド・フレミー博士(1814~1894)」によって初めて宝石質の合成ルビーが作られました。

その後フランスの化学者「オーギュスト・ヴィクトル・ルイ・ベルヌイ博士(1856~1913)」の発明した「火炎溶融法(かえんようゆうほう)/Flame-fusion process ーベルヌイ法ー」によって天然の宝石質のルビーと成分や結晶を同じくする合成宝石の工業的な生産が実現したそうです。

調べてみますと、この1800年代は19世紀の産業革命の時期で、革新的な設備が生まれる環境も重なり合成ルビーの工業的な生産が開花したように思いました。

ベルヌーイ法で作られた合成ルビー(´・ω・`)

紫外線を当てると鮮やかな濃いピンク色に蛍光します(´・ω・`)


こちらは「ペアシェイプカット」の合成ルビー(´・ω・`)

ブラックライトを当てると鮮やかに蛍光します(´・ω・`)


こちらはバナジウムを加えることで「変色性」を得た「カラーチェンジタイプ」の合成コランダムです(´・ω・`)

自然光やLED下では薄紫色ですが、、、

白熱灯を当てると鮮やかなピンク色にかわります。
これは含まれるバナジウムによって出来た光の吸収領域によって、一部の光の波長が吸収されることにより起こります。
※「光(可視光線)」は「赤・橙・黃・緑・青・藍色・紫」の七色のスペクトルを有します。光を当てて見える色は、その七色のうち見えている色以外の光の色が、見ている物体に吸収されることで視覚されます。

ラウンドファセットカットの合成コランダム(´・ω・`)
昼間光5000K(ケルビン)以上の光源ですと紫色に見えますが、、

白熱灯のような夜間光3000k(ケルビン)以下ですとピンク色にみえます(´・ω・`)

近年での合成コランダムは、先にご紹介した「「火炎溶融法(かえんようゆうほう)/Flame-fusion process ーベルヌイ法ー」」の他に、溶剤を合わせた溶液から融点よりも低い1000℃から1300℃の温度で数日かけてゆっくり結晶を成長させる「フラックス法/Flux-fusion prosess ー 粉末法 ー」で生産され、その技術は日々研究者によって進化してます。

生産される合成コランダムは、その硬さや研磨することで得られる摩耗抵抗の少なさから、工業製品の回転機構の軸受や、放電加工機で要となるガイド、高エネルギーレーザーの部品など、宝石以外の用途でも幅広く使用されています。

今回至極浅くですが合成コランダムについて調べてみて、改めて自然の、地殻の下ではもの凄いダイナミックなことが起こっているのだと再認識しました。そして、その大きなエネルギーの産物を手に取った先人たちが、様々な情熱や執念と長い時間を重ねて紐解き、自らの手に再現したのだと知ることが出来ました。

自然って凄いし、人間も凄い(´・ω・`)月並みでは在りますが只々そう思いました(´・ω・`)

以上、合成コランダムのご紹介でした。


—–最近のmelc*lilli—–

オーナーより

昨年に引き続きあっという間に2021年も終わりを告げようとしています。
10月に疲労にて体調をひどく崩し(コロナではありませんよ)一ヶ月近くお店をお休みしました。ご予約をいただいた方々には大変ご迷惑をお掛けいたしました。

自覚なくいろいろ働き過ぎたようです(^_^;)そういえば最近フラフラクラクラヨタヨタが長く続くなぁと思っていたらある日の朝、起き上がれなくなっていました((((´・ω・`))))

多くの方にご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。現在は体調も少しずつ元に戻り、ぼちぼちゆるゆるのろのろやっています( ^ω^ )

いつもの年より、寒暖の差が激しく感じますので、皆様も体調に気を付けてください。
疲れたと思ったら、ぼちぼちゆるゆるが基本ですね( ^ω^ )

2021年ありがとうございました。

来年は一月六日より営業開始いたします。また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは皆様良いお年をお迎えください  .゚.゚+.( ^ω^ )っ゚+.゚.゚
※沢山の新着鉱物をご用意していますのでお楽しみに!!


今回の参考文献

書籍
カラーブック 新訂 宝石 ーその美と科学ー / 近山 晶 著 全国宝石学協会
新訂 宝石学必携 / 近山 晶 編著 全国宝石学協会
カラーブック 682) 合成宝石の魅力  / 崎川 範行 著 保育社
楽しい鉱物図鑑 1 / 堀 秀道 著 草思社

wikipedia
エドモンド・フレミー https://ja.wikipedia.org/wiki/エドモンド・フレミー
ベルヌーイ法 https://ja.wikipedia.org/wiki/ベルヌーイ法
模倣宝石 https://ja.wikipedia.org/wiki/模倣宝石

youtube 
Starting Oxi- Hydrogen Flame fusion oven – DJEVA – Switzerland
https://www.youtube.com/watch?v=hMWzXLFuRDk

Flame Fusion Verneuil Process Proses Verneuil, Rubi Lab-Tumbuh dan Safir
https://www.youtube.com/watch?v=Qp0u0Vp2jQU&t=1s