放射線処理と熱処理の水晶(´・ω・`)

最近あちらこちらで「今年は花が綺麗な年だね」と良く聞きます。紫陽花も例年に比べて大きいようなそんな気がする昨今(´・ω・`)皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回のブログは、「放射線処理と熱処理の水晶」ご紹介です(=゚ω゚)ノ

さて、「放射線処理と熱処理」と言われても何のこっっちゃで御座いますが、まずはこちらの黒水晶の画像をご覧下さい。

「黒水晶(くろすいしょう)/morion(モリオン)」とは、水晶の結晶の中に含まれる微量のアルミニウムイオンが多量の放射線を受ける事で変化し灰色または黒く見える水晶を言います。
※「煙水晶/smoky quartz(スモーキークォーツ)も同じで色の薄いものを言います。」

こちらは岐阜県産の黒水晶の画像に成ります。
img
黒水晶 岐阜県産 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら

変わってこちらの画像をご覧下さい。
img
「黒水晶 放射線処理」 アメリカ合衆国アーカンソー州産 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら
アメリカ合衆国アーカンソー州産の黒水晶の画像に成ります。

どちらも黒い色の水晶ですが、アーカンソー州産の黒水晶は人工的に放射線を照射して黒くしたもので、岐阜県産のものは自然の状態で放射線を照射され黒く成ったものです。

この様にどちらも放射線の影響で黒く色が出た水晶ですが、片方は人工的に放射線を照射して色を出したものに成ります。


 

次のこちらの黄水晶(きすいしょう)/Citrine(シトリン)」の画像をご覧下さい。
黄水晶は、含まれる微量の鉄イオンの影響で黄色く成った水晶に成ります。

こちらは、「天然の黄水晶の結晶」に成ります。
img
黄水晶   ブラジル産 オーナー蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら

変わって、こちらは加熱処理によって黄色の色を出した黄水晶の画像に成ります。
img
黄水晶 加熱  ブラジル産 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら

天然のものに比べて色味が濃く、結晶先端の部分が濃い色をしています。熱が加わりやすい表面ほど濃くなっているのが見て取れます。

同じく加熱処理の黄水晶ですが、少々変わり種のもので、加熱処理しすぎた先端が白く焼けていまっています(^_^;)
img
黄水晶 焼き過ぎ  ブラジル産 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら

黄水晶の色の要因と成る鉄イオンは「紫水晶/Amethyst(アメシスト)」にも含まれています。この紫水晶(特に色の薄いもの)を人工的に熱処理することで黄色水晶にすることも出来ます。
img
アメジスト 黄水晶(加熱)   ブラジル産 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら

黒水晶や黄色水晶の様に人工的に手を加える事でその鉱物がもっている潜在的な美しさを引き出す手段を「エンハンスメント(改良)/Enhancement」と言います。特に宝石では多く用いられいます。

天然石ビーズに成っている「黄水晶/シトリン」の場合は、通称「焼きシトリン」と言われ熱処理を施されものに成りますが、天然のものもあります(´・ω・`)

□宝石のエンハンスメント
img
ブルートパーズ裸石 左側(加熱)ブルートパーズ結晶 右側(非加熱) 個人蔵
・高画質の別窓での表示はこちら
・ガラケー用低画質はこちら
こちらの画像は、左側が「加熱と放射線処理」により鮮やかなブルーに成ったブルートパーズに成ります。
右側は、天然のブルートパーズの結晶に成ります。天然のものも美しいブルーですが、日光に当たると紫外線の影響により退色し、最終的には透明に成ってしまいます。市場に出回っているブルートパーズの宝石は、ほぼ全てエンハンスメントの処理を施し安定した美しい状態で出荷されています。

エンハンスメントの行程を経た宝石や鉱物は、すべて処理石としての表記が成されますが、中には「天然」と言って販売している所もあります。高価な宝石の場合は正式な機関で発行された鑑定書の提示を求めても良いかと思います。鉱物標本の場合は、根元の部分が白ければ処理石の可能性が高いですが、中には天然と見分けの付かないものもありますので注意しましょう。

以上、「放射線処理と熱処理の水晶」のご紹介でした(´・ω・`)


・今回の参考文献・

□楽しい鉱物図鑑1・堀 秀道 著/草思社

□ジュエリーコーディネーター検定3級 社団法人日本ジュエリー協会

□Wikipedia 石英
https://ja.wikipedia.org/wiki/石英